- 洋彫りの起源 -
15世紀はじめ、イタリアのフィレンツェではじまったルネサンス期。当時の金細工師達は、貴金属に糸鋸で透かし彫り（traforo）、その表面に繊細な彫り（incisione）を施していました。フィレンツェでは、ジュエリーへの彫刻に独自の模様や技法などが生み出されていきました。そのジュエリーは"フィレンツェスタイル（Stile fiorentino）"と称され、受け継がれています。ルネサンス期のデザインの特徴である、規則的、シンメトリックで明快な幾何学文様、安定したバランスなどが重視されたデザインも色濃く表れています。洋彫りはタガネを彫刻刀のように使い、手の力だけで彫り込んでいきます。そのため、シンプルで線的、繊細で滑らかな表現に長けています。

- わたしとジュエリー -
小さい頃から絵を描いたりモノをつくったりすることが好きでした。はじまりはビーズを繋げること。また、海外旅行が好きだった祖父母の影響も大きいです。祖母はいろいろな国のジュエリーやアクセサリーが好きでした。毎年クリスマスにそれらをプレゼントとして譲ってもらったのは良い思い出です。今も大切に持っています。
大学は美大に進み、情報デザインを専攻しました。学生の頃から漠然と、思いのこもったもの、人の手に長く残るようなものをつくりたい、そういう思いがありました。最終的にぴったり合ったのがジュエリーでした。

- わたしとイタリア -
旅行が大好きで学生時代に旅をしたヨーロッパにとても魅了されました。街並み、美術館、食べ物…経験するものすべてが楽しかったです。
30歳になる前に海外で好きなことを思いっきり勉強してみたいという気持ちもありました。25歳の時に転機となるできことがあり、イタリアのアレッツォ、フィレンツェに語学留学。その期間に学校を探し、また春から専門学校に２年間通うことになりました。

- ViMiについて -
イタリアで学んだ昔ながらの伝統技法をもとにデザインから制作まですべて１人で行なっています。 以前は伝統から逸脱してはいけないと考えていました。今はこだわりすぎず、純粋にきれいだなと思った感覚を大切にしています。日本での職人時代に教わったことやハワイアン彫りの機械に出会い、その深彫りの表現も取り入れています。
ViMiは[美々]。漢字のブランド名です。イタリアでは強く日本人を意識させられました。自分では意識していなくても「どこか日本らしい」と。それはけして嫌ではなく、むしろ嬉しく思っていました。そんな気持ちも漢字というカタチであらわしています。

- 今思うこととインタヴュー記事 -
コロナ以前は12時間飛行機に乗っていればすぐにイタリアに行ける。そういう感覚でした。それ故、イタリアは身近。行けなくなってはじめて、あれほしいなぁ！とかこれないなぁ！とちょっと寂しい気分になります。自分の大好きな国イタリアをジュエリーを通してもらえれば嬉しいです。

最後に以前参加したイベントのインタヴュー記事です。自分が発した言葉を他人が文章にしてくれているので、また違った印象で新鮮でした。 https://note.com/birthverseberth/n/n2660b40eb682

Misa
千葉県出身。武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業後、デザイナーとして繊維会社に勤務。2010年よりイタリア・フィレンツェのジュエリー専門学校「Perseo」に2年間留学。帰国後、オーダーメイドのジュエリー会社で製作を担当。2016年1月より、自身のブランド"美々（びみ）"をスタート。
趣味は旅行、美術館巡り、カリグラフィー、可愛い絵本探し、スポーツ全般(学生時代はずっとテニスでした）最近はじめた刺繍が楽しくて夜な夜なチクチクやっています。